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短歌を詠みます。
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※以下の記事は、及川光博ワンマンショーツアー2013「ファンタスティック城の怪人」のセットリスト・内容をもとに書かれたもので、ネタバレを含みますのでご注意ください。

ワンマンショー第1部のセットリスト(Interlude、Dirty or Beautyを除く)
一曲ごとに、ヒロイン目線で短歌を書いてみました。
短歌の後には、これを書くときにもとにした、自分なりの解釈を思うまま書きつづってみました。
(自分でも思っていた以上に長くなりました。すんごく長いです)
どちらも物語に心を動かされた一人のベイベーの個人的考えとして、
楽しんでいただけたら幸いです。


・Slave of you
想われる覚えもないまま降ってくる言葉の熱に飲み込まれそう

・三日月姫
踊り明かした夜は遠くその眼へと映る三日月だけが知るもの

・求めすぎてる?僕。
完璧な女神はあなたの中だけの存在 何も求めてこないで

・幻惑のラビリンス
新しいドレスはいらない眠らずにここで踊っていたいの私

・ラブソング
この街をあなたは知らない 物語を私は知らない 夢は夢のまま

・Blue Rose
奇跡とはあなたのことだ闇の中燃やされ続けた青い炎よ

・プルシアンブルーの肖像
迷いつつ青い胸へと抱かれればやさしい悲しい雨にほころぶ

・恍惚ニ死ス。
触れるほど浮き彫りになる隔たりを突きつけながら私も知った

・運命のひと
運命はまためぐるからこぼれ落ちた光もいつかあなたを照らす

・光
次は同じ世界に生まれお互いを眩しく照らす光になろう

・Don't forget me
ありがとう 忘れないからときどきは私の髪を揺らしにきてね



・個人的解釈
前提として、ヒロインであるブルーローズには、前世の記憶はありません。
したがって、怪人のことも覚えていません。
魂は一度怪人と結ばれた女性のものですから、感覚で響くようなところはあるのかもしれませんが、
とにかく記憶はない。
そこに現れた怪人が、「Slave of you」のテンションで愛をささやいてくる、いや叫んでくるわけですね。
・・・怖いですよね、きっと。「Don't be afraid of me」って言われても怖いよ!みたいな。
怖い以前にたぶん、「いや、あなた誰ですか・・・?意味わからないんですけど・・・」って感じかなと。

一方怪人は、記憶があるとかないとかそんなの考えられない。
とにかくこのひとは、自分が愛し、よみがえることを信じて200年待ち続けた、運命の女性であると。
その証拠に、またこうやって出会えたじゃないか。ほらやっぱり運命だ!!もう逃がさないぞ!
・・・ミッチー本人も言ってましたが、記憶のないヒロインにとっては、単なるストーカーです。
「三日月姫」も「求めすぎてる?僕。」も一方的な男性目線と言えばそうですし、
これらの歌は、ヒロインを見つけてテンションが上がりまくった怪人の、
妄想とか願望とか欲望が炸裂してるパートかなと思います。

そしてやっぱり怪人とヒロインの間には、時代の隔たりもあるでしょう。
怪人は200年、外界との接触は断っていたんじゃないかと思うんですね。
なにせ彼女の幻影を抱き続けてますから。
ブルーローズを見つけてはじめて、彼女のいる世界を見てみたら、
夜になっても明るいままの街とか、その街の中ではしゃぐ人々とか・・・。けがらわしいように思える。
ヒロインがそんなところで遊んでいるのとか耐えられないわけです。
たった一言、好きと言ってくれれば、私のところへ来てくれれば、君をその世界から連れ出せるのに・・・。
その辺の心情を歌ったのが「幻惑のラビリンス」なんだと思います。

「Slave of you」のときにはただ「怖い。意味わからない」くらいのトーンだったヒロインですが、
自分の生きている世界を否定されて、怪人に反発を覚えます。
「急に現れて『お前は私のものだ』みたいなこと言って、挙句私のまわりを否定するなんて・・・!
私のいる世界をいばらの城というならそれでいいし、私はあなたに救いを求めたりしません。
そのまま牢獄の中にいてください!」みたいな・・・(さすがにひどい?)。

この辺りで怪人もちょっと落ち着いてきて、「あれー?」と思うわけです。
このひとは運命のひとなのに、自分との関係は運命なのに、ちっともなびいてくれない。
どうしたらいいんだろう?どうしてほしいんだろう?
ここでやっと、ヒロインの気持ちも考えるような姿勢が出てくる。それが「ラブソング」なのではないかと。
ヒロインの方も、怪人のことをわからないと思う気持ちはあるけれど、
まがいなりにも自分のことをまっすぐに想っているのを感じて、それにこたえたいような気持ちもでてくる。
でもやっぱり怪人と自分では世界が明らかに違うということを、ヒロインは強く思っている。
そこは超えられないように思えて、ヒロインは戸惑うのです。

ヒロインの心の変化を知ってか知らずか、ちょっと落ち着いた怪人は、200年間の回想を踏まえつつ、
ヒロインへの想いをあらためて伝えます。それが「Blue Rose」。
君がここにいるのはブルーローズのように奇跡に等しいこと、でも私はそれが起こることを信じて、
ずっと君のことを想っていたんだ・・・。
言っていることは「Slave of you」のときとあまりかわらないかもしれませんが、伝え方は明らかに違う。
その一途さにヒロインは心を動かされる。
ひとりのひとを想い続け、200年も時を経てしまった怪人の存在こそ、奇跡、ブルーローズではないかと思いながら。

ここから「プルシアンブルーの肖像」に入る前には、私の勝手な憶測が入ります。
怪人の想いに少し心が揺れていた時、ヒロインには何か打ちのめされるような、
とても傷つくようなできごとが起こったのではないかと思います。
打ちひしがれる彼女の心にそのとき浮かんできたのは、怪人の存在だった。
あのひとと自分の世界は違う。でも、自分の世界では辛い目に遭うし、あれほど想ってくれるのなら、
その世界に行ってしまった方が幸せなんじゃないか・・・。
都合のいい甘えた考えと言えばそうかもしれませんが、何か怪人の世界の方に心がぐらりと傾くようなことがなければ、
ヒロインは自分が感じている隔たりを飛び越えて、怪人のもとへ行くことはなかったんじゃないかと思えるのです。

そして、傷ついたヒロインと怪人の逢瀬が「プルシアンブルーの肖像」なんだと思います。
やっと自分のもとへきてくれたヒロインは、悲しみに打ちひしがれていた。
その姿に心を痛めながらも、もうこのひとをはなさない、はなせないと思う。
自分はどうなっても、このひとを守りたいと思うような、今までとはまた違った気持ちが怪人の中に生まれる。

やっと心を通わせたふたりですが、やっぱり怪人とヒロインの間にあった隔たりはどうしようもなかったのです。
200年も生きていた怪人。彼は言うなれば「人であって人でない」存在です。
ヒロインと二人で過ごす中で、怪人もヒロインもそのことを痛いほど知る。それが「恍惚ニ死ス。」なのかな・・・と。
あのもう今すぐにでもすべて終わらないかと願うかのような歌詞。ワンマンでもすごく激しいダンスが入りますよね。
もうどうにもならないことを知りながらもなお止まらない想い。
それを突き付けられ、怪人はヒロインのことを「残酷な女神」だと思うのです。

燃えるような絶望を体験した後、怪人は思います。そもそもの自分のやり方が正しくなかったのだ。
「太陽と月に背く」ような、自然の摂理に反したやり方は、間違いだったのだ、と。
でも、今の彼は、それをも「運命」として受け入れます。
200年前、ある女性と結ばれたことも、彼女を失くしたことも、その後自分がこのような存在として生きてきたことも、
今こうしてその女性の魂を持つヒロインとめぐり会ったことも、すべて運命なのだと。
その上で、怪人は、ヒロインのもとを去ることを決意します。
そしてまたヒロインも、怪人のもとを去り、もとの世界に戻ることを決めます。
この辺りのことが歌われているのが、「運命のひと」だと思います。
想いを通わせた二人にとって、その選択は、たやすいことではありません。
名残惜しい。できるならずっと二人で一緒にいたい。でもそれは、悲しいけれど、かなわないこと。
二人とも、運命を受け入れて、それぞれの道へと進むのです。

個人的には「光」は、怪人目線ではなくて、ヒロインの目線の歌なのではないかと思います。
「心安らかに眠れ 美しい夢をみて さようなら さようなら 私の光よ」はヒロインの怪人に対する気持ちで、
この歌全体がレクイエムではないですけど、怪人の魂に寄り添うような歌になっているのではないでしょうか。

そして、「Don't forget me」。
一緒にはいられないけれど、ずっと君のことを想っている。
君の前世でのことも含めて、すべてのことが自分にとって大切なこと。
だからできることなら、君も私のことを忘れないで。そしてずっと、笑顔で、幸せでいてほしい。心から愛してる。
・・・切ないですね。次に怪人が生まれ変わるときには、ヒロインの生まれ変わりも同じ世界に生まれて、
二人で幸せになってくれたらいいな、と思います。

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プロフィール
HN:
雨宮真由
性別:
女性
自己紹介:
(あまみやまゆ)
歌人集団「かばん」所属。
https://twitter.com/#!/amamiyamayu
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