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短歌を詠みます。
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ペン先をゆがませながらしたたらす筆跡わたしは青ではじまる

これは君の空、ベランダに囲われた視界が私の通信手段

呼んでないものがくる日は君の名をとなえる 10金みたいなちから

腕時計をかたりと外す今きざむ時間は誰にも知られたくない

喉笛を狙える位置にとめられたフォークの鋭利にしばし見とれる

くったりと寝入った君をなでながら小春の午後をゆっくり食べる

夢でみた色を見つける 世の中の触れられるまで眠るものたち

どの道を進んで生きても同じこと私目がけて降ってくる雨

息も悪も恐れも恋も燃え上がる心という字、あれは火なのだ

燃えるもの君より多く持ちたくて夜明け静かに細胞をとぐ

床に差す光にやわく手をひたし次はさわれぬものに生まれる

呼吸まで閉じ込めておく副題をつけてこのままページを閉じる


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「かばん」2013年2月号 特別作品
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ひとの肌に匂いがあること 後先の後を知ったら先はもうない

切りつけるかわりに赤い線を引くあなたの名前は涼しい混沌

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「かばん」2013年1号


夜の雨ひかりあふれて路面には道がない ないことが照らされる

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「かばん」2013年新春題詠 兼題「夜」
美しく生まれたかった美しい木々や水辺やひかりのために

私には二行の文章しかなくてあなたはすぐにページを繰った

火の傷と書いてやけどだ火よおまえきずつけるにはどうしたらいい

才能を発揮するのもまた才能隠し続けた爪が錆びてく

取り柄なら腕が長いこと(届かない)あなたの基線も知らずに伸ばす

かたくなに救いを拒んでいるひとの頬をぶっても夜中は夜中

チョコミントアイスクリーム溶けてゆく私はおまえの選ばぬ未来

まっすぐにつま先灯って歩きだすあかりが続くところがすみか


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「かばん」2012年12号掲載作
誰にでも優しいだけのあなたには未来に凍るアイスをあげる

火をつける間もなく燃えて嘘をつく舌にもわたし寛容だから

横切れば偽物だって知れたのにレモンを縦に半分に切る

抱きつけば首の匂いがたちのぼりこれはほんとと教えてくれる

「あれは君が前世に乗った波」海を指さす指を横目で盗む

指を埋めるように鍵盤なぶるのね今日は私がかばってあげる

静脈をたどっていったらこのひとの起源を知ってしまうのだろう

祈ることは折ること指を組みながら失うものを目のうらにみる


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「かばん」2012年11号掲載作
ぎっしりと指が詰まって靴の先あそびを許す余地なんてない

舌足らずな女になりたかった日々地平線へとヒールを捩じ込み

君の顔もつ人がいて降りかかるまつげの記憶にまぶたが裂ける

秋口の風が窓から耳打ちし頭はひくい方へ流れる

部屋中のやわらかいものかき集め君の匂いを清く呼びだす

雨音と寝息がまざる痛くない閉じこめ方はいくらも知ってる

文脈をなくしてからが本性で巻き舌だけが頭蓋をはねる

身体はときおりノイズとしてあって私はあらゆる地で吹き飛ぶ砂


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「かばん」2012年10月号掲載作
プロフィール
HN:
雨宮真由
性別:
女性
自己紹介:
(あまみやまゆ)
歌人集団「かばん」所属。
https://twitter.com/#!/amamiyamayu
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