短歌を詠みます。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
水ぶくれをつぶす細胞レベルから君にそぐわぬ私の組成
会えないのではなく会わない着信の川がシーツの上をたゆたう
快晴の午後の机に顔置けば寂しさにすらおいていかれる
君がこぼす涙をぬぐうこの指は汗もかかずに生きていくもの
好きなだけ吹き荒れたあと凪を呼ぶ君はくしゃりと髪をかきあげ
べったりと夢から覚めればここは浜 蘇生措置後の水を飲み干す
角砂糖降ってはほろり蜜月を知らぬ私のためにくずれる
この風は君には冷たい?束縛を覚えないままからまっていく
---------------
「かばん」2012年9月号掲載作
会えないのではなく会わない着信の川がシーツの上をたゆたう
快晴の午後の机に顔置けば寂しさにすらおいていかれる
君がこぼす涙をぬぐうこの指は汗もかかずに生きていくもの
好きなだけ吹き荒れたあと凪を呼ぶ君はくしゃりと髪をかきあげ
べったりと夢から覚めればここは浜 蘇生措置後の水を飲み干す
角砂糖降ってはほろり蜜月を知らぬ私のためにくずれる
この風は君には冷たい?束縛を覚えないままからまっていく
---------------
「かばん」2012年9月号掲載作
PR
『ください』がいくつも貼られたバスの中君の火花を見せてください
雷が落ちてどこかに確実に落ちて私の知らないドラマ
月のようには輝けずハレーション輪郭を失ってゆくだけ
憂いとはないものねだりお手持ちのお済みのお皿はお下げしますわ
君の「おはよう」が気に障る朝もあり好意は嫌悪よりも不埒だ
『シニナサイ』も『イキナサイ』になり消音のテレビの前では無意味なお告げ
もう用をなさない金具が道ばたで光ったりする君も生まれる
好きでした 夏至の街路を歩みつつ私は君の裏拍になる
---------------
「かばん」2012年8月号掲載作
雷が落ちてどこかに確実に落ちて私の知らないドラマ
月のようには輝けずハレーション輪郭を失ってゆくだけ
憂いとはないものねだりお手持ちのお済みのお皿はお下げしますわ
君の「おはよう」が気に障る朝もあり好意は嫌悪よりも不埒だ
『シニナサイ』も『イキナサイ』になり消音のテレビの前では無意味なお告げ
もう用をなさない金具が道ばたで光ったりする君も生まれる
好きでした 夏至の街路を歩みつつ私は君の裏拍になる
---------------
「かばん」2012年8月号掲載作
携帯についた指紋の跡までも見えるメールが届いて深夜
温度差も凹凸もなくすべすべであなたはモデルルームの住人
「心臓はいらないから」とすねた目で鍵を渡され「さらいにきたの?」
軽やかなステップは見せかけべたべたの足はとなえる「あなたが欲しい」
駄目すぎる男も好きでぐずぐずの正中線をなぞって遊ぶ
必要とされない水になってただあなたのまわりの湿度が上がる
触れたのはゴールじゃないよ、直角にどんどんそれているよ、背泳ぎ
気がすんだ あなたの言葉を思うときあなたの声はもう出てこない
---------------
「かばん」2012年7月号掲載作
温度差も凹凸もなくすべすべであなたはモデルルームの住人
「心臓はいらないから」とすねた目で鍵を渡され「さらいにきたの?」
軽やかなステップは見せかけべたべたの足はとなえる「あなたが欲しい」
駄目すぎる男も好きでぐずぐずの正中線をなぞって遊ぶ
必要とされない水になってただあなたのまわりの湿度が上がる
触れたのはゴールじゃないよ、直角にどんどんそれているよ、背泳ぎ
気がすんだ あなたの言葉を思うときあなたの声はもう出てこない
---------------
「かばん」2012年7月号掲載作
@azu_toさん企画の棚機短歌に参加しました。
企画の詳細とまとめはこちら
---------------
叶うのは十年後でもいいからと願った恋が埋まる川底
天の川ゼリーは青い天上の水は地上の水に焦がれる
会えないのではなく会わない着信の川がシーツの上をたゆたう
隔てることが不得意な時を生き光ファイバーが駆けゆく夜空
彦の字を名に持ち消えた流星がのこした銀河を繰り返し聴く
久しぶりですねあなたに差し上げた星は今でもお元気ですか
星の名をよく知る人とふたりいて宙にきらめくカタカナの音
企画の詳細とまとめはこちら
---------------
叶うのは十年後でもいいからと願った恋が埋まる川底
天の川ゼリーは青い天上の水は地上の水に焦がれる
会えないのではなく会わない着信の川がシーツの上をたゆたう
隔てることが不得意な時を生き光ファイバーが駆けゆく夜空
彦の字を名に持ち消えた流星がのこした銀河を繰り返し聴く
久しぶりですねあなたに差し上げた星は今でもお元気ですか
星の名をよく知る人とふたりいて宙にきらめくカタカナの音
肌にぬるものはやさしい肌にふれるひとはつめたい たためない夜
素晴らしく勝手なあなたと跳躍をなすなら別のうさぎにならなきゃ
泣いている私の手首ひねったねサディスティックに受話器を取って
煮えてきたジャムの糖度はぬらぬらとあなたが「俺」って言うのを聞きたい
銀製の取っ手をつかむ手を押さえ「これがおまえよ、見るの?」と囁く
見合わないのに触るからこぼすのだ神を失うと書いて失神
皿の上大観覧車を並べればスライスの中の恋人たちよ
目を閉じて首を差し出すこの後は魔界も魔界にならないでしょう
---------------
「かばん」2012年6月号掲載作
素晴らしく勝手なあなたと跳躍をなすなら別のうさぎにならなきゃ
泣いている私の手首ひねったねサディスティックに受話器を取って
煮えてきたジャムの糖度はぬらぬらとあなたが「俺」って言うのを聞きたい
銀製の取っ手をつかむ手を押さえ「これがおまえよ、見るの?」と囁く
見合わないのに触るからこぼすのだ神を失うと書いて失神
皿の上大観覧車を並べればスライスの中の恋人たちよ
目を閉じて首を差し出すこの後は魔界も魔界にならないでしょう
---------------
「かばん」2012年6月号掲載作