短歌を詠みます。
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全天の渡り廊下ですれ違うあなたが起こす風を吸い込む
落としたら拾ってくれたペンはその日からノートに頻出する色
山月記の音読で知る「いっぴき」の「いっ」の音の方高く言うこと
テスト前教科書本文読むときはあなたの声で再生される
奥さんにお願いがありますあの人を幸せ太りにだけはさせないで
無意味だと知りつつ書く嘘久々の手紙に「恋人ができました」
返信のはがきに以前と変わらない文字で「子供が産まれました」
あこがれのN先生が吸っていた煙草灯して二十歳【はたち】を祝う
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「かばん」2011年10月号掲載作
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二十二時改札前ではち合わせ藪と知りつつ踏み込んでみる
真っ白なスケジュール帳約束は約束でないこういう場合
シュレッダーに向かうタイミング見計らいメモを渡しに来る周到さ
携帯の四角い光が映っているあなたの眼の中ことばを探す
伸びきった腕に頭をまたのせてあと一時間の安全むさぼる
わたくしが終わりと言ったら終わるから生きるの同様静かにあがく
「搾取などしていません」という顔でフラペチーノを飲む十八時
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かばん・9月歌会提出作より
「そのくぼみ、ビー玉で口をふさがないためにあるんだ、飾りじゃないよ」
整えた爪をまったく感知しない君のセンサーに足は安らぐ
湿気と熱取り込む装置と化した窓寝返りを打つ君は扇風機
泳ぎ方わからなくても溺れること知らなきゃきっと溺れはしない
見てくれのためにやむなく作る傷カミソリ負けの肌をなだめる
出会う前の知らない時間も分かち合う駄菓子を買って帰る八月
未来形きらめく暑さ来年も同じ麦わら帽かぶせて笑う
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かばん・8月歌会提出作改訂
整えた爪をまったく感知しない君のセンサーに足は安らぐ
湿気と熱取り込む装置と化した窓寝返りを打つ君は扇風機
泳ぎ方わからなくても溺れること知らなきゃきっと溺れはしない
見てくれのためにやむなく作る傷カミソリ負けの肌をなだめる
出会う前の知らない時間も分かち合う駄菓子を買って帰る八月
未来形きらめく暑さ来年も同じ麦わら帽かぶせて笑う
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かばん・8月歌会提出作改訂
あたくしに向かう矢印の本数とその内訳を考える昼
右斜め下に傾くあなたの字に合わせて少し首をかしげた
湿ぼったい肌にかまけて午睡する二人の頭上を夏が流れる
シロップは嘘発見器ブルーハワイ食べてる舌が真っ赤っかだよ
鱗粉は来【きた】るべき日にとっておく焼かれるための蝶と誘蛾灯
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かばん・7月歌会提出作改訂ほか
右斜め下に傾くあなたの字に合わせて少し首をかしげた
湿ぼったい肌にかまけて午睡する二人の頭上を夏が流れる
シロップは嘘発見器ブルーハワイ食べてる舌が真っ赤っかだよ
鱗粉は来【きた】るべき日にとっておく焼かれるための蝶と誘蛾灯
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かばん・7月歌会提出作改訂ほか