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茫漠と広がる闇に立ってなお射竦める眼に奪われていた
瞬間を踏み抜くように生きていくここではどこを向いても墓場
静謐なまばたき見てきたものの分あなたのまぶたは重たくうごく
散り際もあまさずに見るいつだって視界を乱さぬようにしてきた
たくさんの名前を負って飛ぶ背中終生ひとのものにはならない
ひとときはおまえの呼吸に安らいだ休息が安息でなくとも
来世でもその眼は鋭いままですか 背負われたまま流れて彼岸
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「かばん」2013年11号
笑うのを身上とする見せかけの木立ちの奥で凍てついたまま
むせるほどおぼれたかったグラスへと生のジンジャーエールをそそ
ひたむきな夜の青さに身を置いて髪のうっとうしさも忘れる
真夜中はあらゆるものが精密でいつかの声もただしく響く
時に眼は依り代だったくもらないおまえの視線に拾われていた
(詰められて)市松模様の(そこにいる)
箱の中から見える月は綺麗かいどこにでも根を張って生きるさ
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「かばん」2013年10月号
所有へのあこがれはない倒れてるコップの水が広がってゆく
警告もあざやかな街淡色の靴へと赤いインクは落ちて
向かい合う方が気楽だ横顔にたやすく神を見てしまうから
あの人は物語になる人でないどの時間にも通ずる栞
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「かばん」2013年9月号
おとなしいだけのひとなどいないからこれはあなたを転ばせる靴
傷つける候補ですから身勝手に怪我などせずにいてくださいね
声を聴きましょうまだらのスカートで仕止める手筈はととのってい
目をまもる眼鏡がのっている耳介あなたを語る線は無限だ
あなたから盗むやさしい言葉だけはべらせておく水槽を飼う
飛び跳ねることを知らずに生きてたのあの子がわけてくれた胸なの
つみ重ねられないタイプの椅子ばかり集める言ったことは忘れる
裏返しになって行くから君の街次は上手に水源になる
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「かばん」2013年8月号
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「かばん」2013年7月号